旬感ブログ

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ロケットマン

話題のロケットマン

劇場公開初日にDolby Atmosで観てきました‼

恐らく、多くの人が「ボヘミアン・ラプソディ」のエルトン・ジョン版?という気持ちで、始めはみていたのかなと思うのですが、それはもう、ぜんっぜん別物でしたね。比較するのはナンセンスってレベル‼

 

私は、「ロケットマン」がミュージカル映画という事前情報を知っていたので、期待半分、不安半分で観に行きました。ミュージカル映画ってなかなか塩梅が難しく、当たりはずれが大きいので(苦笑)

 

個人的には「ボヘミアン・ラプソディ」より圧倒的に好みだし、*1ミュージカル映画としても超クオリティー高くて、大満足◎

観ている最中もぐっときたのですが、あとからじわじわ来るというか。エルトン・ジョンの楽曲を噛み締めながらもう1回観たい。

 

 

ミュージカル映画としてクオリティーが高い‼

まずはこちらの記事を読んでくれという感じですが、私のいいたいことは、全て泰造お兄さんが言ってくれた‼ってレベルで共感しました。

www.asahi.com

以下、ミュージカルに言及している箇所の引用です。

原田 これはすごく観(み)たかった作品なんだよね。エルトン・ジョンの半生を描くということにも興味あったし、監督が『ボヘミアン・ラプソディ』にも関わっていたデクスター・フレッチャーということもあって、あの感動をもう一度味わわせてくれるんじゃないかと思ったんだけど、観終わってみると『ボヘミアン』とはぜんぜん別物だった。もちろん感動したんだけど、『ロケットマン』は、なによりもミュージカル映画なんだよね。

コトブキ そのミュージカル・シーンがどれも素晴らしいですよね。それぞれ映像にも工夫が凝らしてあって、エルトンの心情を描いていて。

原田 冒頭に、幼少の頃のエルトンの家族たちが、それぞれ違った形の愛を歌うミュージカル・シーンがあって、もうこれだけで、この映画は名作だと思った。洗練された舞台を観てるみたいな感覚になるし、曲もすごく良かった。

コトブキ あそこは『I Want Love』という曲ですね。この映画はエルトンがいままで発表してきた楽曲を、年代関係なくシーンごとにアレンジしてはめていったみたいですね。

原田 そうなんだ。曲がすごくハマってるから、この映画用に作られたものなのかと思ったよ。移動遊園地でダンスするシーンも目が覚めるような盛り上がりだったし、アメリカ初ライブで披露した『クロコダイル・ロック』 も興奮した。これ、自分だけかもしれないけど。大人になるにつれてミュージカル面白いって思うようになったんだよね。

 

はいここ‼「I Want Love」のシーンは、映画としても良いのだけども、ミュージカルシーンとしても最っ高です‼‼‼

エルトン・ジョンの生まれた家庭は、少し複雑で、誰もが愛に飢えていて…。*2

両親を圧倒的悪役にすることもできるのだけれども、この1曲で、家庭内の空気や、それぞれの思い、苦しさを見事に表現する、ほんとに名シーンなんです。舞台でも観てみたいし、このシーンのために映画館にリピートしたいレベルで良かった(大絶賛)

 

エルトン・ジョンの曲がいい‼歌詞がいい‼

私は、ぼんやりとメロディーを聞いたことがあっても、歌詞は英語だし、曲を全然知らなかったんです。でも、この映画を観ると、歌詞がびっくりするほど、いい‼

日本人の私にも、びしばし届く‼響く‼洋楽は全くわからないですが、日本人にも共感しやすい歌詞なんじゃないかなと個人的には思いました。

そして、多くの曲で作詞を手掛けているのが、バーニー・トーピンという方で。

いや、このバーニーがほんとにいいやつで、かつ、天才的な歌詞を書くんですよ‼

だから、エルトンは、当然のようにバーニーの人柄と才能に強く強く惹かれるんですが、バーニーはストレート(で、かつ女性大好きって感じ)なので、どうやってもその思いには応えられない。

愛の種類は違っても、そこには確かな愛や相手を思いやる気持ちがちゃんとあって…だからこそ、とても残酷だったりもして…。

バーニー超いいやつだけど、その歌詞をエルトンに歌わせるのはさすがに酷でしょみたいな…。

でもそれをやりきるところが二人の才能だし、強さだし。

…いや、ほんとすごいなっていうありきたりな言葉しか浮かばなかった。

最終的に、何十年も2人で共作し、たくさんの名曲を生み出すのですが、ずっとベストパートナーであり続けたというのが、本当に尊い関係だなって。

 

・演じる役者がいい‼

そして、このバーニー・トーピンを演じるのが、あのリトルダンサージェイミー・ベルなんです‼ここは私的大興奮ポイント(笑)

タロン・エジャトン大好きだし、この映画でもすんばらしい&ちょっと恐ろしいレベルの演技をみせているのですが*3、役柄と相まって、ジェイミー・ベルが本当にいい味出しているので、リトルダンサー好きな方も、是非観てほしいです。あのビリーが立派になられて…みたい気持ちなります。

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この映画の出演者、皆、当たり前のように歌も上手だし、なによりミュージカルの世界感を壊すことなく、ファンタジーに偏りがちなミュージカル映画の登場人物たちを、地に足のついた一人の人間として、自然に演じていて…。皆、すごく良かった。

あと、実在の人物(←全員実在の人物ですw)への寄せ方が、なかなかにすごいのです‼エンドロールで実際のお顔を拝めますので、是非、対比して観てほしい‼

中でも、エルトン・ジョンの幼少期を演じた子役の寄せ方はとんでもないです。

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エルトン・ジョンが、今、この瞬間生きているということの凄さと両親が彼に与えたもの

この映画を観ていると、まぁアルコールに溺れ、ドラッグに溺れ、自殺未遂をして、心臓発作になり…って、本当に、今もご健在なのが不思議っていうレベルの出来事だらけなんです。

でも、今、こうして生きている。御年72歳にして歌声もばっちり◎

これはもう、シンプルに生まれ持った身体が強い人なんだろうなって。身も蓋もない話ですが(笑)


Elton John - Farewell Tour Highlights l Summer 2019

 

 

丈夫な身体、絶対音感、曲作りの才能、歌声…

…何一つ与えてくれなかったようにみえる両親だけど、たくさんのものを与えてくれていた…。音楽に関しても、父親が日常的にジャズを聴いていたり、家にはピアノがあったり、才能を伸ばす環境があったんですよね…。

 

それこそ、先日観たエンドレス・ポエトリー*4での、アレハンドロから父親への

 

何も与えないことで、全てを与えてくれた

 

という言葉が、不意に思い出された。*5それでも、To Dadとサインに書いた息子を拒否するシーンや、あなたは誰からも愛されないと言い切る母親に対して、良い感情は抱けなかったし、観ていてとても胸が苦しくなりました。

 

・最後ちょっぴり、「ボヘミアン・ラプソディ」との違い

ボヘミアン・ラプソディ」の人気の理由って、全ての熱量が最後のライブシーンに集約されているというか。一気に高揚して、バーーーーーーンみたいな。映画館まるごとドーーーーーーンみたいな。

とてつもない音楽の力、アーティストの力、ひいてはそれを成し遂げる俳優の力…みたいな熱量の塊が、それはもう打ち上げ花火のように舞っていて、観客を圧倒したんだと思う。

と、同時に、実在のフレディ・マーキュリーはもうこの世にはいないんだ、もう会えないんだ…というそれこそ花火のように、散ってしまったフレディーの命に思いを馳せ、どこか心がぎゅっとしてしまう。そんな気持ちを誰もが抱いたんじゃないかな~

 

一方、ロケットマンに関しては、歌もダンスもクオリティーが高くて、それこそ「I Want Love」のシーンとか最高なのですが、ドーーーーーーン、バーーーーーーンみたいな感じはあまりなくて(笑)

じゃあどこがこの映画のハイライトなんだろう…って考えると、私は、「I‘m Still Standing」かなと。←あくまでも個人的見解です‼

たくさんの依存症を抱え、孤独に耐え、それこそ生死をさまよいながら、それでも生きていくんだ‼と力強く宣言する曲。

フレディーに対してどうしても感じてしまう喪失感が、エルトンに対しては、生まれない。ただただ、「あぁ…生きていてありがとう」と感謝の気持ちが湧いた。この感情の違いっていうのは意外と大きいな~って。

この人がちゃんと生きていて、その上で伝記映画を作ったということがすごい。

アドレナリン指数は、「ボヘミアン・ラプソディ」に負けるかもしれないけど、人の生きる力の強さとか、踏ん張って生きていこうね(合掌)…みたいな気持ちになるのは伝記映画として、すごくいいなって思いました。

 

はい、ここでまた泰造お兄さんのお言葉。

原田 ショービジネスの明暗やトップの孤独みたいなことは、いままでいろんな映画やドキュメンタリーで何度も見てきたパターンではあるんだよね。それはアーティストたち自身もよくわかってるはずなんだけど、やっぱり同じルートをたどってしまう。でも、エルトンの場合は実際立ち直ったわけだから、いまどん底にいる人がこの映画を観ると勇気づけられると思う。

コトブキ どん底というか、水中に落ちていってましたからね。あのシーンは象徴的だし、美しかったな。

原田 ドラッグで意識を失ってプールに落ちたら、水の底に子供の頃の自分がいるんだよね。悲劇的だけど幻想的で、そのときのエルトンの置かれた状況や心情まで伝わってくるよね。そのあとに病院に担ぎ込まれるシーンもミュージカル風になってるんだけど、そこもすごかった。この作品、舞台だったらこんな風になるんだろうな、なんて思いながら見てたんだけど、もう途中からこれは映画じゃないと成立しないなって思ったよ。

 

エルトンは、多分、生物的にめちゃくちゃ強いものを持っているので、エルトン・ジョンだったから乗り越えられた…と言ってしまったらそこまでかもしれない。でも、世界的スーパースターが不格好にもがいてもがいてもがいてもがく姿をこうやって、映画に残してくれたっていうことに、誰しもどこかで勇気づけられる部分があるんじゃないかなと思う。だからやっぱり私はこの映画好きだなって思う。

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*1:ここで感想をまた比較してしまうのもナンセンスなのですが、ただ“好みでした”では何か伝わり辛いかなと思い、ついついこう書いてしまう…

*2:毒親が天才を生んだ。『ロケットマン』に描かれたスターの名声と孤独(此花 わか) | FRaU

*3:ミュージカルなのに、ちょっと怖いレベルで憑依している瞬間とかあって、少なくとも、皆大好きキングスマンのエグジー君とは全く別人でした。恐るべしタロン・エジャトン…いやー…想像の数段凄い俳優さんだったんだな。

*4:

*5: