旬感ブログ

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中村屋酒店の兄弟

いい意味で予想を裏切る展開、聞いてない。とても良くてびっくりした……‼

映画館で観たのですが、本編上映前にラジオドラマが流れる。これが、天才的によかった。劇場内は暗転し、真っ暗なスクリーンを前に音に耳を澄ませる。音だけでこれだけ映像が浮かぶんだな。料理シーンなんて匂いまで感じた。なんて贅沢な時間だろう。このラジオドラマでかつての中村家の日常を垣間見ることになるので、いざ、その後の本編を見ると、それらがより伝わるとうになっている。なんという相乗効果。

 

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数年前に家を出てひとり東京で暮らす和馬は、親が経営していた酒店を継いだ兄の弘文のもとへ帰ってくる。数年ぶりに訪れる実家は当時のままの温かさと懐かしさに包まれていたが、その一方で確実に変わってしまったものもあり……。

中村屋酒店の兄弟 : 作品情報 - 映画.com

 

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予告編の印象通りに物語が進むのだけど、それだけじゃない……んだな~。ラジオドラマに続き、本編が進む中、こちらの気持ちも中村屋酒店の空気、兄弟の空気に馴染んできたところで、あーーーっ。別に、その何かが問題なんじゃなくて。それまでに、兄の気持ちも、弟の気持ちも、家族の雰囲気もいっぱいいっぱい感じてたから、うわぁぁぁって心が動揺してしまう。45分という短い時間にこんなに詰め込めるんだ。

 

兄ちゃんの心根が優しくて、そんな兄を「兄ちゃん」「兄ちゃん」って慕う弟がとびっきりかわいくて愛おしくて。言いたい言葉が、喉元どころか口元まで来ているのに、それを飲み込んで(特に兄ちゃん)。でも、互いにすごくすごく心配してて、思ってて。いや~なんかね~……よかった、ほんと。

 

中でも、美しくて、苦しくて、優しいラストシーンは、必見。ラストシーンでも、この兄弟は悉く、直接的な言葉を言わない、言えない(相変わらず特に兄ちゃん)。けど、精いっぱいに伝えようとする姿。あの、「またいつでも帰ってきていいからな」*1にどれほどの思いを込めたんだろうか。決して明るい終わり方ではないのだけど、ここにきて兄弟二人の気持ちが言葉を超えてばちっと伝わるという意味では、とても希望的。ほんとに偶然なのですが、先日こちら*2で感想を書いた同じ藤原季節さんが出演しているスペシャルドラマ「海の見える理髪店」のラストにもシンクロするような余韻があった。しかも、ここでも季節くんは、つーって綺麗な涙を流すもんだから、それが美しくて、尊くて。心の中で思わず合掌。

 

 

映画館を出て、そのまま実家に帰ると季節にそぐわない上下フリース素材のパジャマを着た母と季節に合わせたリネンのパジャマを着た父が迎えてくれた(笑)このツッコミどころ満載なのに、意に介さず、各々が超マイペースに平和に暮らしている感じ。あぁこれが私の実家だ。そして、実家から駅に向かう道すがら、中村屋酒店のような酒屋さんがあって、なんかぐっと来て泣きそうになってしまった。

 

撮影で使用したリアル中村屋酒店のドキュメンタリー(白磯大知監督)もあります。

 

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*1:

記憶曖昧ですがこういうニュアンスのセリフ

*2:

 

syunkanmkrn.hatenablog.com