おいしい家族
観終わった後、気分が晴れ晴れとし、かつ、後からじわじわいろんな事を考えられるなんて、本当に良い映画だと思う。
間口は広いのに、観た人の心にしっかりと種を撒いている感じ。良作です‼
誰でも楽しめる映画だからこそ、上映館が増えるといいな。
映画のあらすじは、こちら。
実家に帰ると、父が“母”になっていた――!? 温かくて、少しヘンテコな
“家族愛”に癒される 物語と人生がリンクする “超新星監督”が紡いだ、
この世界が好きになる“幸福の95分”
清々しいほどに「生きること」を肯定する人生賛歌‼
特にいいなって思ったのは、2年前に亡くなったお母さんとお父さん(現・お母さん:板尾創路)描き方。
※以下、ここでは“現・お母さん”のことは、“お父さん”と表記します。
お父さんは、お母さんとの死別後、お母さんになった。
嫌な言い方をすると、お母さんが生きていた間、
・お父さんはずっと本当の自分を隠して我慢していたの?
・それはお母さんへの裏切りじゃないの?
・お母さんの立場なくない?
…つまるところ、お母さんのことどう思ってたの?という疑念が生じる。
だけど、お母さんと共に過ごした時間(=お父さんであった時間)は、決して不幸なものではなくて、ちゃんと家族として幸せな時間を紡いでいたことが伺えるシーンがちりばめられていて、お母さんへの変わらぬ愛を感じた。
だからこそ、大切な人のいない世界で幸せになろうとすることは、亡くなった人を裏切ることでも、忘れることでもなくて、ただ誠実に目の前の世界を生きることなんだなと思った。
それがお父さんにとっては、たまたま、お母さんになることだったのかな…。突飛なことなのに、とても自然に描かれていた。
なんといえばいいか…この穏やかな映画から「誰もが生きやすいように生き、幸せになっていい」そんなメッセージを私は受け取った。
これは、家族の在り方にも繋がっていて、「こんなにも幸せな家族の姿を皆が求めてもいいんだ」っていう観客へのエールなんじゃないかな。
最後に、「ごちゃごちゃ考えてないで、人として好きな人、居心地のいい人がいれば、家族になるんだぞ‼」
という、自分へのエールを残しておこう^^