日日是好日(1)
2018年9月15日に亡くなった樹木希林さんの最後の出演作である「日日是好日」を観ました。
心に沁みるというとなんだかチープな感じがしてしまいますが、心の芯の部分に響くような、構えることなく、さらさらとした涙が流れる、上質な良い話、良い映画でした。いざ感想を書き始めると、樹木希林さんであふれてしまったので、2回に分けて記載します。
樹木希林さん
きっとお身体は大変だったろうなと思う。
それでも、人生最後にこの作品に出合えた樹木希林さんの女優人生はとても幸せなものだったのかなと、勝手ながら思いを馳せてしまった。
今、この武田先生の深みを表現できるのは、この人だけと思わせてしまう圧倒的な存在感。
この映画を観た時点で、当然ながら、樹木希林さんはこの世にいなかった。
映画を観ながら何度も、
「あーこの人はもういないんだ。もう思い出の中でしか会えないんだ。
もう一度、会いたいよ。寂しいよ。」
と、最後の最後にもう一度、その人に甘えたくなるような気持ちが込み上げてきた。
そうゆう感情って、とても近しい人との別れの場で感じるものでしょう。
だから、自分でもとても驚いた。
これまで、特に好きな女優さんという訳でもなかったのに、私の中に、この人の存在している場所があったなんて…。
私は、樹木希林さんの出演作品をたくさん楽しませていただいていたのだ…
と、今になってしみじみと思う。
亡くなったというニュースを聞いた時も、
ショックを受けるでもなく、ずっと生きていそうな雰囲気だったのに、本当に亡くなってしまったんだ。
あー希林さんも私たちと同じ人間だったのね、なんて妙なことを思ったことくらいで、
そのことに気づかなかった。
だから、この映画も見るつもりでもなかった。
それでも、ひょんなことでこの映画を見る機会を得て、やっと希林さんの死を実感し、弔うことができたように思う。
その時は、わからなかった、わかることもできなかったことが、時を経て、ふとしたタイミングでその意味を知る。
その意味を知ることで、自分の生きた道を感じる…
そんな映画。
樹木希林さん、ありがとうございました。
心からご冥福をお祈りいたします。