ピアノを弾くということ ~蜜蜂と遠雷~ ~パリに見出されたピアニスト~
「勉強しなさい」とは一度も言われたことがないけど、「ピアノの練習は終わったの?」は毎日言われるような環境で育った。
とは言え、ピアニストを目指してストイックな生活をしていた訳ではなく、習いごとの一つであるピアノを少し頑張っていた普通の子どもでした(笑)
そんなこんなで、今でもピアノの音色は大好きだし、ピアノがテーマの作品は、なんとなく欠かさずに観ている気がします。
という訳で、10月に観たピアノ関連2作品(しかも2日連続で観た)の感想をまとめて。
蜜蜂と遠雷
ピアノが、というよりも出演者が好み過ぎるので、当然のように鑑賞。*1
なお、映像化不可能と言われた原作の小説は未読です。
何が印象に残ったって、レベルは天と地ほど違えど、ピアノを弾く時の孤独は皆同じなんだなということ…。(それがコンクールの緊張感であれば尚更)
ピアノというものは一度弾き始めると、たちまち孤独になる。ただただ自分の奏でる音だけを頼りに、何とか指がスムーズに動いてくれと祈りながら弾く。
なぜ間違えたくないかって、一度ミスをすると、一気に我に返り、緊張の糸が切れてしまいそうで怖いから。
そんな不安や孤独が見事に表現されていて、幼い頃に経験したピアノの発表会での緊張感が蘇り、苦しくなった。
私は、今でも指先が冷えると、とても不安になる。今は、パソコンのキーボードをたたくことしかないのに、なぜか、指が冷えると、指がちゃんと動かなくなるんじゃないかと不安になる。この映画でも、本番直前まで手袋をしている人、手を温めている人がたくさん登場した。
そうそうそう…。ピアノ=指先の冷え禁物は、万国共通なんだなと。
そんなリアルがたくさん詰まった映画。
ピアノを弾いたことのある人はより楽しめるんじゃないかな。
もちろん、世界的コンクールのお話なので、ちょっとピアノを習っただけの人間が共感できるようなレベルではない、天才たちの戯れシーンもたくさんあります。
そして、この作品の凄いところは、カデンツァ(即興演奏:譜面がなく各自がそれぞれ曲に合わせて作曲できる箇所)や、コンクールで演奏する曲の選曲を通して、登場人物のキャラクターを音楽面でも表現していること‼
演奏から、その時の心の状態までもが伝わってくる感じがして、凄かった。
それを表現する演者もすごいけど、実際に演奏している人もすごいと思う。超絶技巧の曲なのに、ちゃんと音色に演出がされていた。
あとは、印象的な連弾シーンがいくつかあったこと。
連弾って距離の近さも相まって心もシンクロするんだな~。
連弾いいな。ピアノ弾きたいな。でも気持ちよく弾けるようになるには苦しい練習しなきゃな…とかいろいろ考えながら帰途についた。
そんなこんなで、ピアノ熱が高まりまくったため、勢いで翌日もピアノ映画を鑑賞することにした。*2
パリに見出されたピアニスト
なんて気持ちの良いサクセスストーリーでしょうか^^大絶賛!!
私はこういう作品が大変好きなんです。
ベタでベタな登場人物たちと、所謂、使い古されたストーリー*3なのに、なんでこんないいんだろう…。
主人公と先生2人キャラクター、関係性が良いのかな。
そのシンプルなストーリーに、上質な音楽と、パリの街並みが良いアクセントとなっていて、あぁ良い映画観たなって爽快感。
こちらの主人公は、「蜜蜂と遠雷」の登場人物とは少し異なり、困難な境遇で、ピアノだけが生きる糧のような青年。
ひりひりとした緊張感はないけれど、素直に感動できる。
あとは、ハンガリー狂詩曲第2番という、私が大好きという意味で(笑)とんでもない曲がフューチャリングされている点も超加点ポイントでした!!*4
という訳で、2019年10月のピアノ充でした。幸せ。