旬感ブログ

好きなこと&旬な気持ちをメモ代わりに

誰しも見えない世界があるのなら ~ブラインドスポッティング~

このブログにも書きましたが、先日「ロケットマン」を観ました。*1

実は同じ職場の映画好きの方々と一緒に観に行き、鑑賞後は、おいしいお酒を飲み、各々感想を語り合ったりしたのですが、(楽しかった‼)

その中でなんとなく、セクシャルマイノリティーの話題になったんです。*2

同じ事業所内だけでも1000人近い人が働くこの会社で、誰一人セクシャルマイノリティーの人に出会わないというのは、普通に考えて異常だよね、と。まぁそんな話です。

つまるところ、その事実こそが、そうした人を受け入れる土壌が全くない組織であることを証明してしまっているのですが…。*3

 

実際、40代で結婚する社員に対して、「いや~結婚しないからこっち系かと思ってたよ…」とか平気な顔で言う人とかいるし…。(ため息&遠い目)

こういうことを言う人をフォローするつもりは更々ないけれど、彼らはセクシャルマイノリティーの人が自分の半径数十メートルの世界(ひいては同じ組織内)にいるということが、本当に想像できないのだと思う…。というか、本気でいないと思っている。

学生時代も、社会人になってからも、そんな人は自分の周りにいなかった…。

LGBT8.9%*4とかいうけど本当かよ、自分の周りには全然いないよっ0%だよって。そう思っているというより、彼らから見ればそれが現実なのだ。

 

 

…しばし考えてみる。

自分がセクシャルマイノリティーに該当するとして、そんな想像力のない人(理解に欠ける人)が身近にいたら、どう振舞うかを。

カミングアウトする?それとなく伝える?

私だったら、何もしない。むしろ目立たないように過ごすと思う。

だって、毎日通う職場…これまで懸命に築いてきたものが壊れてしまいそうで。

(本当は壊れるなんてことがあってはならないけれども、そういった怖さを感じるだろうなっていう話)

 

だから、「自分の周りにはLGBTの人間はいない」と言い張る人の周りには、いつまでたってもセクシャルマイノリティーに該当する人は現れないのだと思う。

と、まぁまぁ批判的に書いていますが、自分にもそういう思い込みや、固定概念みたなものはあるわけで、自分では問題とすら思っていないことに気が付くのは難しいなっていう話です。

 

そんなことを思いおこさせてくれる映画が「ブラインドスポッティング」*5

 

blindspotting.jp

 

この映画、映画館で観た時、笑えるところもあるのだけれども、自分の中で良かった‼とか面白かった‼という感想があまりなくて、正直、評判良い割にそこまで響かなったわ~って感じでした。ですが、映画のエッセンスみたいなものが実生活に染み渡っていく感じがして、なんとなく、ブログを書きたい気持ちになりました。

 

ちなみに、当初そこまで響かなかった理由はただ一つ。

なんというかストーリーの流れ?波長(盛り上がり、盛り下がり)が私の心地よい波長じゃなかったからです(笑)

 

この映画のあらすじって超ざっくりいうと、

オークランドで生まれ育った親友同士の2人の青年の姿を通し、人種の違う者や貧富の差がある者が混在することによって起こる問題を描いたドラマ。(映画.com作品ページから引用)

 

なのですが、この親友同士の二人が黒人と白人で、物語は、黒人のコリン目線で進むんですね。なので、観客は彼が潜在的に感じている黒人であるがゆえの恐怖とか、不都合とかを追体験できるのですが、ある場面で、白人である親友のマイルズから見た世界を知ることになるんです。

すると、そのマイルズから見た世界は、それまで全く見えてなかったということに気づくという…。

そんな構成のお話です。

 

作中に登場する「ルビンの壺」は、1つの絵から2つの見方(壺・向かい合う2つ顔)ができるが、同時に2つの見方はできないというもので。(=片方ずつしか見ることができないということ)

それはこの映画全体の包み込む、誰もが持つ盲点みたいなものを示唆しているわけで。

f:id:mkrnsouko:20190906225007j:plain

 

たとえ(黒人の)コリンと(白人の)マイルズが、小学校からの親友同士であり、それはもう多くの時間を共に過ごし、同じ経験、同じものを見てきたとしても、そのすべてを同じように認識し、感じていたかと言えば、そうではない。

でも、ずっと同じものを見て、経験しているからこそ、二人は同じように感じているとこれまでずっと思っていた…。

その二人の認識の差が明らかになることで、初めて生まれてくる葛藤や衝突が劇中で描かれるのですが、「結局、他の黒人と同じかよ、他の白人と同じかよ」って埋められない溝を見せつけて、終わらせることもできたと思うし、きっと多くの現実はそうなんだと思う。

こんな世の中だもんね、POISON…。

だけど、それらを越えていくゆかいな友情がそこにはあって、厳しい世界でも、その親友二人の空気感が優しくて、なんだか救われる思いがして、最後は安堵の涙が溢れました。

 

 

誰にでも自分では気づけない、見えない世界がある。

だからこそ、見えない世界があることを想像力の欠如とか言って責め立てるは違うようにも感じる…。*6

ただ、その見えていなかった世界を知った時、自分はどう感じ、どう振舞うのか、そんなことを考えるきっかけになる映画でした。「現実はもっと厳しいよ」とかここでは言いたくないな。

新しい関係を築く道があるのであれば、その道を信じてみたいってものです。コリンとマイルズのように^^

いや、なんかね、ぐだぐだ書いてしまったけれども、この親友コンビなかなかのデコボコでかわいい^^

是非、世界の厳しさと共に、二人の空気感も味わってほしい作品だな~って書いていて思いました‼

f:id:mkrnsouko:20190906225314j:plain

 

*1:ご興味があれば、こちらをお読みください

syunkanmkrn.hatenablog.com

*2:エルトンが同性愛者なので

*3:私の職場(というか会社)は、THE昭和(最近急激にインフラ面は進んできたが、メンタル面は依然として昭和)の、所謂、典型的な日本企業です(笑)

*4:2018年電通ダイバーシティ・ラボの調査から

*5:って、前振りの長さw

*6:このブログの前半ではしっかり責めてますが…