旬感ブログ

好きなこと&旬な気持ちをメモ代わりに

ブリグズビー・ベア

公開当時、見たかったのだけど、どうにもこうにもタイミングが合わず、見逃してしまった作品。この度、Filmaks上映会があったので、参加してきました‼

仕事の都合で、最近引っ越したのですが、以前は毎日通勤に使っていた池袋に久しぶりに行けたこともなんだか感慨深かったな(笑)と、早速話が逸れてしまいましたが💦はるばる池袋まで出向いてでも映画館で見れてよかった~^^

eiga.com

赤ん坊の頃に誘拐され、偽の両親のもとで彼らが制作した教育番組「ブリグズビー・ベア」だけを見て育った25歳の青年が、初めて外界に出たことから巻き起こる騒動を描いたコメディドラマ。外の世界から隔絶された小さなシェルターで、両親と3人だけで暮らす25歳のジェームス。子どもの頃から毎週届く教育ビデオ「ブリグズビー・ベア」を見て育った彼は、現在はその世界の研究に没頭する日々を送っていた。そんなある日、シェルターに警察がやって来て、両親は逮捕されてしまう。これまでジェームスが両親だと思っていた男女は、実は誘拐犯だったのだ。ジェームスは生まれて初めて外の世界に連れ出され、“本当の家族”と一緒に暮らすことになるが……。

 

とにかく、心があったまって、コメディーテイストで楽しく見れる作品。
登場人物が皆優しくてあったかいので、鑑賞後は、思わず笑顔になれる。
けれども……。
あらすじにあるように、主人公のジェームスは赤ちゃんの時に誘拐されて犯人夫婦に監禁されて育てられた人間。
25歳まで、その閉ざされた世界で、犯人夫婦の作った「ブリグズビー・ベア」というビデオだけを見て、外には一歩も出ずに過ごした。
彼にとっては、その「ブリグズビー・ベア」というビデオが全て。大好きで、人生の全てを学んだのがこの作品。


だけど、自分が両親だと思って信じていた二人は、自分を誘拐した犯人で、大好きな「ブリグズビー・ベア」はその犯人が作った作品で、世界中の人が見ていると信じていたその作品は、世界で自分しか見ていなかった……。

25歳になり、外の世界に出たものの「ブリグズビー・ベア」が大好き。

一方で本当の両親からしたら、息子を誘拐した犯人が作ったビデオに息子が夢中になっているというのは、犯人たちに洗脳されているように見えるだろうし、心中穏やかではない。だけど、見るなとも言えないのは、実の親子とはいえ、25年間の離れていてたという大きな壁があり、遠慮があるから。


全員が戸惑っている。両親は両親で25年前に息子が誘拐されたことに心を痛め傷ついているし、ジェームスはジェームスでこれまで自分の信じていた世界がすべて偽物だったと突然の事実に傷ついている。


誘拐は悪で、監禁も悪。どう解釈したって、傍から見れば悪から解放されたのに、過去をすっぱり断ち切って、新たな幸せをつかむのではなく、その過去の悲劇から続きにある幸せを認めることの難しさ、複雑さ。
だからこそ、皆のやさしさや明るいキャラクターに救われる。
その一方で、なんだか、ほんとにいいのかという心のざわめきが私の中に沸き起こり、少し動揺しました。

 

「ほんとうのことなんて、当事者にしかわからない」ということを改めて胸に刻みたくなる作品。これは、「流浪の月」(著者:凪良 ゆう)を読んだときの感覚に似ているかも。二人のことは二人しかわからないし、周りには決して理解されない(できない)。


自分の物差しでは理解できない幸せに周りがとやかくいう資格なんてないのだけど、どうしても心がざわっとする感じ。極端な例だけど、そんなことって世の中にあふれているんだろうな。
本人が幸せと思っていることに対して、それは違うと否定することの難しさ、無責任さ。自分の物差しは本当に正しいのか、とか。些細なことだけど、「もっといい人と結婚すればいいのに……」の類も、極論そういうなのかも。


映画自体は素直に楽しめて、ほっこりしつつも、心の奥底がぐるぐるかき乱される作品に出会えた幸せを久しぶりにかみしめました。

 

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