旬感ブログ

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THE やんごとなき雑談

中村倫也さんのエッセイを読んだ。このエッセイは、2018年から約2年にわたって月刊誌「ダ・ヴィンチ」で連載した「中村倫也のやんごとなき雑談」をまとめものだ。

 

人はどうやっても自分のことを高く評価してしまうらしい。故に、「この人とは同じ目線(レベル)で話ができそう」と思った相手は、とっくに自分の遥か遥か上をいっている人なのだそうだ。そんなことはよくわかっているし、大人気俳優の中村倫也さんに対して、「同じだ」なんて思ってはなかったのだけども……。

それなのに、共感とも親近感ともまた違った、「私と同じだ」という感覚、「話したら会話続きそう」仲良くなれそうみたいな、不思議な感情を抱いてしまった。

なんなら、もしも、地元が同じで小学校が一緒だったら、たぶんこの人とはそこそこ仲良かっただろうし、卒業後も、たまに会ったら結構会話弾みそうとまで思ってしまったのだ。なんと烏滸がましいのだろう、私は。

 

私には同じ年に、東京で生まれ育ったという、共通点がある。たったそれだけなのかもしれないけど、あの不思議な感情は、この共通点が影響しているのかもしれない。生きている世界だって、人生の濃度や、他人からさらされる目も全く違うはずなのに、どこかそう遠くない別の場所で確かに同じ時間軸を生きていたんだなという感じがした。

戦ってきたとはまた違う感じがするけれども、同じ時間・同じ時代に世界とぶつかって生きてきた同士というか。とくかく、肩を組みたくなってしまう感じがしたのだ。実際には、中村倫也さんの肩を組むなんてできないので、本を読んだ後、心の中でそっとそっと肩を組ませていただいた(照)

 

そもそもなぜ最近になって「優しくなりたい」と思うようになったかというと、僕がもう、「大人げのある大人」にならなければいけないと感じたから

とか、まさに“わかる”のだ。同世代だからこそなのか。今、この瞬間わかる感じ。自分自身、大人になれたのかと聞かれると、成長してないな、足りないなと感じることも多いのだけども、ちゃんと大人として生きなければと思うようになったと感じる。

 

本人はめんどくさい性格と言っているけど、十分に素直で、魅力的な人だなと思った。そして、自分のアクションがたくさんの人の笑顔につながればとナチュラルに心から願っている人である。

みんな違ってみんな足りてなくて、時に自分の存在が「無意味な、とりとめもない物語」に思えるかもしれないが、それらはきっと気高く価値のある、美しい奮闘だと思う

なんて言われたら、勇気付けられちゃうわ、ほんとに。なんだか益々、中村倫也が気になって好きになってしまう一冊。

読みやすい文体で、さくっと読めて、心がふわっと軽くなるエッセイ。俳優として作品を生み出すだけでなく、中村倫也としても、励ましてくれるなんて、さすがに福利厚生が良すぎて、甘えたくなる‼感謝~^^

そして、同世代として勝手ながらとてもとても誇らしい気持ちになった^^

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