旬感ブログ

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永遠に僕のもの

青山シアターさんのレビュアーオンライン試写会にて映画「永遠に僕のもの」を鑑賞させていただきました。青山シアターさんありがとうございます‼

gaga.ne.jp

 

この映画を観て、まず思ったのは、ルイス・オルテガ監督を筆頭に、この映画の製作に関わった人、皆、もれなく(主役のカルリートスを演じた)ロレンソ・フェロという才能に惚れたでしょということだ。

実際、主役のロレンソ・フェロ君(想像よりずっと少年だったので、思わず君付け)は、噂通り凄かったです。美しいだけでなく、演技もよくて、目線だけで演じるシーンとかぞわってなりました。何より、シーンによって、子供にっぽく見えたり、急に大人っぽく見えたり…一貫した美しさはあるものの、持っている顔が多いなと。今後が楽しみです♪

 

撮影を進行しながら、こんな表情も見たい、これもやってほしい…みたいな。どんどん彼に惚れていく様子が、画面からそれとなく伝わってくるんです。

だとしたら私は、もっと猟奇的に人を殺しまくるところとか、血塗れになるロレンソ君を観たかったよ…とか思うけど、きっと、皆、彼に魅せられすぎて、大切な宝(ロレンソ君)を血塗れになんかないと思ってしまったんだなと勝手に納得しました(笑)

 

そうなんです。この映画、犯罪映画(しかもR15+)として観ると、相当物足りない。スリルも残忍さも。

いや、やっていることは、十分に残忍なんですよ‼でも、「おっと、殺しちゃったわ‼」みたい感じで、あまりにもあっけらかんと殺すので、犯罪映画的なひりひり感がないんです。スリルについても、そう。バレること、捕まることを全く恐れていないので(笑)

 

つまりこの映画、犯罪映画というよりは、カルリートスの独りよがりな「青春映画」に近いと思う。一人の同級生との出会いがきっかけとなり、もともと普通ではなかった少年が一線を越え、破滅に向かっていく話。

 

先日観た、「ブレス あの波の向こうへ」では、少年が“恐れ”と向き合うことで、大人になっていくトーリー(成長する話)だった一方で、今回の「永遠に僕のもの」は、そもそも“恐れ”を持たない特異な少年の話なので、大人になる気配がない。いつまでも少年のまま。それでも、ぐっと何かをこらえたり、悶々としたり。そこには、彼なりの青春があったのだの“だと思う”。

“だと思う”…というのも、私は、彼に共感することも、彼を理解することもできないから。

 

それでも、誰にも共感できず、誰にも共感されずに生きるというのは、寂しいものだったろうなとは思う。

「盗んだものは、プレゼントするんだ。皆、喜んでくれて、仲良くなれるから」

と無邪気に言う姿に、プレゼントすることでしか人間関係を築けなかった彼の幼少期が示唆されていて、かすかに胸が痛む。

 

全く理解できないからこそ、その美しい顔が画面一杯アップに映るたびに、「君は今、何を考えているの?」と思わず、問いかけたくなる。理解したいわけでもないのだけれど、この何とも言えない感じをせめて、言語化したくて。

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