映画「ひとよ」試写会&トークイベント
映画「ひとよ」の試写会&トークイベントに参加しました。 Filmarksから応募し、当選したものです。いろいろな映画レビューサイトのユーザーが集まっていて、大規模でした。白石和彌監督のトークイベントもあり、充実の試写会でした。
【映画概要】
女優で劇作家、演出家の桑原裕子が主宰する「劇団KAKUTA」が2011年に初演した舞台を佐藤健、鈴木亮平、松岡茉優、田中裕子の出演、「孤狼の血」の白石和彌監督のメガホンで映画化。タクシー会社を営む稲村家の母こはるが、愛した夫を殺害した。最愛の3人の子どもたちの幸せのためと信じての犯行だった。こはるは子どもたちに15年後の再会を誓い、家を去った。運命を大きく狂わされた次男・雄二、長男・大樹、長女・園子、残された3人の兄妹は、事件のあったあの晩から、心に抱えた傷を隠しながら人生を歩んでいた。そして15年の月日が流れ、3人のもとに母こはるが帰ってきた。
舞台版「ひとよ」の紹介記事です。
【トークイベント】
映画評論家の方(名前を失念してしまいました)が白石監督に質問をする形式。
試写会参加者から直接質問できるコーナーもありました。
トークショーの内容は超ざっくりメモです。雰囲気のみお楽しみください。
ネタバレになる箇所は、下部に記載しているので、適当に避けて読んでください。
・本作を監督することになった経緯
本作は、桑原裕子が旗揚げした劇団「KAKUTA」の舞台が原作。
(桑原裕子さんはスナックのママ役として映画にも登場しています。)
舞台版は観てなかったが、舞台を見て感銘を受けたプロデューサーさん?から話をもらい、本作を撮ることになった。
・舞台版からの変更点
舞台版の主役は、母親だが映画版の主役は佐藤健演じる次男の雄二。不在者(母親)の帰宅により家族が右往左往する様子を表現するにあたり、誰目線で物語を描くかを考えて組み直したものだが、母親が主人公(の一人)であることに変わりないと思っている。自分自身も子供をもつ親として、親、子どちらの気持ちもわかる。親、子どちらかに偏ることなくフラットな作りになるよう心掛けた。
また、舞台版はタクシー会社が舞台のワンシチュエーションなので、佐々木蔵之介演じる堂下のエピソードは舞台の淵(今日こんなことがあったんだという会話で終結してしまう)で起きていたが、その淵の部分のエピソードもしっかり描けることが映画の特徴。堂下のエピソードや万引きのシーンは映画だからこそできた表現。ラストのクライマックスシーンも映画のダイナミズムを意識して作った。
・*1初めて?血の繋がった家族を描いたことについて
今回は血の繋がった家族の話と言いつつ、タクシー会社の面々は所謂、疑似家族的であると思っている。タクシー会社の面々といる時の方が楽しそうに見えたりするあたり、まさに、疑似家族的。
・キャストについて
最近は、本当にいろいろな役柄を演じている印象がある。
ツンツンしているけれども1番家族が好きという雄二のキャラクターが、佐藤健本人のキャラクター(クールだけども演技に対して熱い思いを持ってる点)にリンクしていて良かった。以前から、一緒に仕事したいと思っていたので、今回一緒に仕事ができて、嬉しかった。
あと、運転が上手。*2
田中裕子
何度もラブコールをしていて、今回の仕事を受けてくれた。半年間かけて役のために白髪を伸ばして準備してくれた。年末の賞レースに名前が挙がるだろうと。
吃音がある役なので、役を作りこめる人ということも視野に入れてキャスティングした。吃音の練習は「燃えよ剣」*3の撮影中からしてもらっていた。ちなみに、衣装合わせの時には、大河ドラマの撮影中で体がムキムキで、これは、大丈夫か…という感じだったが、結果、見ての通り、問題なかった。
肝の据わり方が園子(役名)だなと思った。本人は全くお酒を飲まないが、酔った雰囲気も◎◎
3兄弟について(鈴木、佐藤、松岡)
似ていない3人が、兄妹として成立していることについて、監督が魔法をかけたかのように言われるが、そんなことはなくて、本人たちの空気感が(本当の兄妹のように)そうなっていた。
子供時代とのダブルキャストということもあり、不安もあったが、最初の撮影シーンが、鈴木亮平と松岡茉優2人のシーンで、松岡茉優のアドリブもあり、その時点で、空気感が兄妹になっていた。それを見て、これは佐藤健もいけると確信した。
中庭で3人が話すシーンは、撮影直前の本人たちの何気ない会話をそのまま採用したもの。それくらい3人の空気感が良かった。*4
音尾琢磨
白石監督作には必ず出演している。
これまでの出演作の中で、今回が一番いい人。←悪い人の役を期待していたら、ごめんなさいとのこと(笑)
映像だけで伝わったかわからないが、兄妹にとっての従兄弟役。なので、家族ではあるが、少し距離のある関係。雄二に対して重要な言葉を投げかける。*5
こちらの記事に、キャストに関する監督の言葉がそのまま記載されているので、是非ご覧ください。
【所感】
当日呟いたTwitterを貼っておきます。
というのも、田中裕子さん演じる母親のキャラクターが、私的にはちょっとサイコパスにしか感じられなくてですね…(笑)その感じを限りなくネタバレせずにどう表現していいかわからなかったので。ただ、演技は最高なので‼!是非、是非という感じです。
#ひとよ
— そーこ (@mkrnsouko) October 1, 2019
親子の再会と再生を描く物語かと思っていたら、少し様子が違い笑いが散りばめられていたり。お母さんのキャラクターの癖が強くて、私はどうしても苦手だったのですが…田中裕子はもちろん、佐藤健も鈴木亮平も松岡茉優も最高の演技!!豪華メンバーの本気の演技合戦は見る価値あり◎ pic.twitter.com/HRC9YuoGF0
*1:これまでの作品は血の繋がりのない疑似家族が過酷な世界を生き抜く話が多かったが
*2:ラストのクライマックスシーンは、カーチェイス的な要素があり、雄二という人間がこんなに運転がうまいはずないという突っ込みどころもあると思うが、そこはまぁ、佐藤健だからいいだろうと。実際の佐藤健も、非常に運転が上手とのこと。ちなみに、雄二は中学生の時から運転ができるという設定w←これには、監督ご自身もどんな子供だよって突っ込んでた(笑)
*4:松岡茉優が「でら↑べっぴん」というと、佐藤健が「でら↓べっぴんだろ」とイントネーションを直すシーン。
*5:雄二に「巻き込まれなよ」と言うシーンが物語の中で、一つのトリガーになっている。