旬感ブログ

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映画「his」試写会&トークイベント

映画「his」の試写会&トークイベントに参加しました。

Filmarksユーザー限定のイベントです。

いやいや、2019年何本の映画が公開された??な超売れっ子映画監督、今泉力哉さんのトークイベント(たっぷり45分)付で、非常に楽しい時間を過ごせました。

 

 

【映画概要】

www.phantom-film.com

当日配布された資料のコメントがなんかよかったので、掲載。

紙がくしゃくしゃで申し訳ないですm(__)m

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トークイベント】

映画評論家の森直人さんが、今泉監督に質問をしながら対談する形式。

質問内容は、Filmarksのユーザーが本イベントの応募時に記載したものも多々含まれていたようです。

…私はなんて書いたんだろ。全く覚えてないな。そんな項目あったけなっていうレベル(笑)

イベントの中のメモは特に取っていないので、いつもながら、雰囲気のみお楽しみください^^

 

上映後のトークイベントのため、トークの内容は、ネタバレだらけ‼

具体的なネタバレエピソードは、書いてないと思いますが、作品全体の話はどうしても登場してしまうので…少しでもネタバレにつながるものは避けたい方は、読み飛ばしていただければと思います。

 

今泉監督は、初めてお目にかかったのですが、イメージのまんまというか。*1

おぉ今泉監督だ‼‼!ってなりました。

真っ赤な靴下をはいていたことが印象に残っています。

 

・制作の経緯

脚本のアサダアツシさんが、本作の前日譚となるドラマ『His〜恋するつもりなんてなかった〜』を制作するにあたり、当初より、ドラマとセットで映画の構想があり、ドラマ制作前に声をかけてもらった。

www.nagoyatv.com

曰く、男子高校生が様々な経験を経て、自身がゲイであると自覚するまでの物語

本作は、その13年後(30歳)という設定です。

※このドラマ、私は観ていないのですが、映画を観る上ではそこまで影響なかったかなと。観ていたら、より入り込めたのかもしれませんが、頭に???が浮かぶような場面はありませんでした。

 

打ち合わせの場で、おっさんずらぶの大ヒットを受けて、「(LGBTQ系の作品として)先にやられたー」なんて冗談を言ってた覚えがあるので、少なくとも、おっさんずらぶTV放映前(2016年頃)から本作の検討していましたって(笑)

 

・LGBTQを主題に据えた作品

(私は初耳でしたが)今泉監督はこれまでLGBTQを主題に据えた作品は撮らないと公言していたそうで。その辺りについても、いろいろお話してくれました。

LGBTQに対しては、もともと”特別なもの”という考えは一切なく、”当たり前のもの”と捉えていたので、過去の作品の中でも、幾度となく群像劇の登場人物一部として、登場させてきた。

ただ、それを物語の主題に据えることは、余命ものと同様に、一種の絶対的に盛り上がる型を使うことになるので、それはあえて自分が撮らなくても…という思いだった。

 

今回、脚本のアサダさんから話を受け、内容を詰めていく中で、LGBTQの作品を撮ることに否定的だった自分だからこそ、撮れるものは何だろうと考えた。

その結果として、LGBTQの恋愛ものにありがちな、愛し合う二人と悪者という構図にはせずに、衝突はたくさんあるけれども、悪者が一人もいない物語にすることにした。そのために、それぞれの事情がわかるように、主演の2人以外の登場人物もしっかり描いたと。

この映画でいうと、愛し合う二人(迅と渚)、悪者(玲奈:渚の奥さん)ってことですね~

 

・他人の脚本で作品を撮ること

今泉監督は、これまで監督・脚本の作品をたくさん撮っているが、今作の脚本は、アサダアツシさん。

森さんが「とは言え、だいぶ今泉さんも脚本に口を出していると思う」って言っていた(笑)

 

監督曰く、自分では、今作に出てくるような激しいボディータッチや、熱量のすごい感情の高まり…といった表現は書けないと思う。というのも、こういった感情の高まりを表現したシーンは、観ている人の気持ちも盛り上がる一方で、一歩間違えると、一気に白けてしまう可能性がある。なので、自分が脚本を書く場合は、細心の注意を払っている部分。

象徴的なエピソードとして、父娘のとあるシーンについて、撮影をしながら、役者があまりにも熱い演技をするので、えぇぇぇぇーーーこんな熱量の高い表現‼と正直、戸惑いながら撮影していた。

しかし、脚本を見てみたら、役者は、脚本の指示通りに演じてただけという(笑)

そうした場合は、役者には、「もっと抑えてください」とお願いして別カットを撮影したりもしたが、最終的には、このシチュエーションは、まぁそうなるわな(感情が高まった当然の結果)と、熱量の高いバージョンを採用した。

 

迅と渚の恋愛面においても感情を露わにするシーンがある。

これも自分の脚本だったら、やらない表現。

今作では、離れていた距離、時間の中で、本人たちの内側に積もっているものが大きかったので、それが出て熱量の高いシーンになったということかな~と。

 

・今泉監督、ご近所映画から日本各地へ

森さんが、今泉監督は近所の公園で撮影したご近所映画しか撮らないと思ってたら、前作のアイネクライネナハトムジークでは仙台、今作では、岐阜県白川村とずいぶん遠くにいきましたねって(笑)

いや、ご近所映画って…でもわかる(笑)*2

地域的な話はあまりしていなかったと思うのですが、「以前より、ここ最近の作品は他者性が強まったのでは?」と指摘されると、以前から、自分の中の軸は変わっていない。その上でいろいろなことをやっているというニュアンスでお話しされていたかな~。

この映画に限らず、映画を撮るときは、主人公のための脇役とはせず、そこで普通に生きていることを意識しているという話もしていた…と思う。

 

・キャスティングについて

キャスティングは、迅と渚2人の組み合わせが重要なので、常にセットで考えていた。俳優名ありきではなく、この2人セットでという感じ。

また、ありがたいことに、想像以上にドラマ『His〜恋するつもりなんてなかった〜』の人気が出てしまい(笑)、ドラマのファンからも、キャストに関してたくさんのコメントが届いていた。

そんなファンの方もこの2人なら、納得いただけたんじゃないかなと。

実際、キャスト発表後も「(思ったより、わるく、ない、ん、じゃ、ない?的な)おっおぅ…」みたいな、まずますの反応だった(笑)

ただ、迅を演じた宮沢氷魚さんは、実年齢が若いので、ちゃんと30歳に見えるようにという点は気を付けて撮影した。

 

・撮影裏話

撮影は合宿形式で一気に15日間くらいで撮影した。

合宿形式だったので、主演の2人は、1人で準備する時間がなくて、始めはえーーーって思っていたよう。ただ、結果的に、「この一緒にいた時間が役作りにも役立った」と、取材等で主演の2人が話していたみたい。

 

「だってそうなっちゃったんだもん…」という撮影の中で自然発生的に撮れたシーンがある。

ネタバレもネタバレなので、具体的には言えないのですが、人って優しいんだなと思える素敵エピソードでした。ほっこり。そういう優しい空気感で撮影された映画なんだなぁと思うと納得の映画です。

 

・おまけ

トークイベント中に、お二人の話に出てきた映画作品です。

これらを観てから作品を観るとより楽しめるかも♪

これは忘れないようにメモりました~

当然といえば当然ですが、すらすら作品名が出てきて、お二人とも映画好きなんだな~って思った…。いや、森さんなんて映画評論家なので当然なのですが。

 

『チョコレートドーナツ』

www.bitters.co.jp

森さんが、法廷のシーンでこの作品を思い出したと。

時代も国も状況も違うけど、変わらないものもあるね~みたいな。

 

ハッシュ!

eiga.com

ご自身もゲイであることを公表している橋口監督のLGBTQを主題にした群像劇。

話の流れは忘れてしまったけど、森さんが、今作について、ハッシュに近いものを感じたと言ってました。

そしたら、今泉監督は、いや~比べないでください~ってめっちゃ恐縮してた。お二人の会話からハッシュという作品の評価の高さが伺い知れました。

ってこのブログ書くためちょっと調べてみたら、橋口監督って「ぐるりのこと。」の監督だったんですね~。知ってる‼

 

愛と法

aitohou-movie.com

このドキュメンタリー映画に出演している弁護士の南和行さんが法廷シーンを始め、今作の監修をしているとのこと。

法定シーン見ながら、離婚調停えぐいなって私は思ったのですが、現実はもっとでしょ?!?!ひぃっぃぃてなりつつ、「愛と法」めちゃくちゃ観たいってなってます、今。なう‼

 

 

【映画感想】

映画の序盤は、とにかく藤原季節さん演じる渚が私の苦手なタイプでして。

いやいや勝手に別れを切り出して、8年前に別れた元カレに子連れでそれは酷じゃない?とか

「●●がいなきゃ生きていけない」とかいう人、ちょっと、いやだいぶ苦手だなとか

働いたことがないとか、大丈夫かいな…みたいな。

えぇ…この人の恋愛模様に(上映時間の)2時間も付き合わされるとしたら、正直しんどいなって感じでした…。

 

でもでも、”でも”ですよ。

イントロダクションにもあるけれども、”恋愛のその先”がすごくよかったんです。

群像劇とも違う。なんというか、登場人物が増えるたび、2人が人と関わる度に、少しずつ少しずつ影響を受けていく姿が、いい温度で描かれていて。

誰が悪いとか、何がいけないとかでは割り切れなくて、でもそうなっちゃうよね~

あぁもうやるせいなぁなんて思うこともいっぱいあって…。

でも、そういうことも含めて、温かい温度で描いているのがすごく良かった。

なんなら、視線は温かいけども、ロケ地の気温はめちゃくちゃ寒そうな点もまた良かった(笑)

主役の宮沢氷魚さんがいつも寒そうで、それが個人的にはすごい印象に残っていて*3

厳しい自然環境だけど、猟をして肉を得て、作物を育て野菜を得て、それを食べて生きている、という生活が、生きていくことの根源みたいなものを感じさせてくれて、なんだろうな~生き物として生きるという大きな括りにおいては、誰が好きだとか、男だとか女だとかそういう事が、小さいことのように感じてしまうというか。

 

あと印象に残っているのは離婚調停のシーン。

当事者ではない私が見ていても、「お願いだからもう止めてあげて」ってなります。

それだけ親権って大事なものなんだと頭では理解しつつも、こんな経験したら、自分が壊れてしまいそうで、怖くなった。(私が心配することでもないけど)

 

個人的に泣ける映画って感じではなかったのだけれども(試写会場は泣いている方がたくさんいました)、私はやっぱり、こういう悪い人の出てこない、しんどいけどどこか救いのあるというか…目線の優しい映画が好きだなって思いました。

悪い人が出てこないというのは、言葉通りの意味もあるし、明確な悪役がいないからこそ、その人のせいにできない逃げ場のない切実な辛さとかもあって…。

そんなことの方が現実は多いなって、私は思っているので。

それでも、あぁ隣の人のには優しくしたいな~って鑑賞後に思える温かさがなんとも沁みました。

 

うまく言えないけれども、私はこういう余韻の映画って不思議とパンフレット買いたくなるんですよね~。今回は試写会だったので、パンフレットを買いに映画館にまた足を運ぼうかなと思ってます。

渚が苦手なタイプと散々言っておいて、あれですが(笑)

渚と娘の空ちゃんのやり取りがほほえましいのに、胸がぎゅってなる感じが…また(映画館で)観たい‼ってなってます。

 

Filmarks感想➡hisのややの映画レビュー・感想・評価 | Filmarks映画

 

自分のための素敵なセリフメモ(ネタバレになるといけないので、下に書きます)→*4

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*1:あ、あの辺(よく監督の映画のロケ地となる辺り)歩いてそうって感じ?

*2:そのご近所は、私にとってもそう遠くない割と馴染みのある場所で、あーあの辺りねって、かなり狭い範囲ですよね~(笑)

*3:手先と耳が常に真っ赤だった、それがなんか愛おしくて^^

*4:

 

 

・自分たちが一番の弱者と思ってた

 

・皆すぐ忘れるだから好きに生きろ

 

・人生の中で誰かとかかわって影響をうけることは素晴らしいこと