旬感ブログ

好きなこと&旬な気持ちをメモ代わりに

ジョジョ・ラビット

戦争映画は得意ではない。だけども、見れない訳でもない*1

普段、戦争映画を観る時、「苦しい」「痛い」「辛い」「お願いだから早く終わってくれ…」と全身に力を入れて鑑賞している。そして、終わった瞬間、さっきまでの緊張感から解放され、一気に疲れてしまうのだ。

そして、思う。戦争、ダメ、絶対。そんな感じ。もちろんそれだけじゃないと思うけど…

 

ジョジョ・ラビットは、とても見やすい戦争映画だった。だからなのか、考える余裕があった。観ながら、観終わってから、とてもとても、いろいろなことを考えてしまった。

 

まず一番に考えたこと。

もしも、私が武器を手にしたら、戦う人間なのか、逃げる人間なのか…ということだ。

 

戦争中、何か正しくて何が間違っているかなんて、わからない。

今、ここで考えてもどうしようもないことだけど、私は、できれば、逃げる人間でありたいなと思った。

ジョジョと同じようにウサギを前にした時、果たして私はウサギを逃がしてやることはできるのだろうか…と。

多分、ウサギは殺せても人は殺せないなんてことはなくて、最初はウサギ、次は、次は…って人は慣れてエスカレートしてしまうと思うから。最初にウサギを逃がすか殺すかが、大きな分かれ道のように感じた。

それでも、私は、その時ウサギを逃がしてやれる人間でいられるのか…そんなことをどうしても考えてしまう。

 

映画を観た帰り道、コンビニに立ち寄った。

すると、近くの商品棚から、お菓子が一つポロリと落ちた。私が落とした訳ではない。それでも、普段だったら、その商品をそっと拾って元の位置に戻したと思う。

しかし、今日はそれをやれなかった。

ふと、「新型コロナウィルス」が脳裏によぎり、落ちたものに触りたくないなと思った。

これは、新型ウィルスへの過剰反応かもしれないし、見方を変えれば、正しい防衛本能が働いたのかもしれない…。自分でもなぜだかわからない。

だけど、新型ウィルスが日本に上陸しているという、少しの意識の変化で、こうも私の行動は変わってしまうのだ。そんなものなのかもしれない。少しのコンディションで行動は変わる。

だから、ジョジョと同じようにウサギを前にした時、私はどうするのか、その時にしかわからないのだ。

ただ、戦争中というのは、正しいと思うこと、自分の大切なものを貫くことが、平時よりずっと困難なのだと思う。

 

繰り返しになるが、ジョジョ・ラビットという映画は、見やすい。

なぜ見やすいかというと、ポップな音楽・映像の効果もあるけど、一番の理由は、戦地ではなく、戦時下の日常を描いているからだと思う。

当たり前だけど、戦争中でも人は笑うし、会話するし、ごはん食べるし、喧嘩もするし、生活している。子供たちは、手りゅう弾の投げ方を遊びながら学び…そこにある戦争の影が苦しい*2。戦争が日常ってどんな感じなんだろうか。

 

小学校の頃、「祖父母や近所のおじいさんおばあさんから戦争体験を聞いてくる」という課題が出された。私は、同居していた祖母から話を聞いた。

祖母は、昭和3年生まれだったので、戦時中は、女学生だったようだ。

小学生だった私に向けた話だからか、祖母の口からは、所謂“命懸けで…”みたいな話は聞けなかったと記憶している。そして、当時の私は、それをなんだか物足りないと思ったような気がする…

朧げな記憶だが、

・当時は、疎開していた。(確か、軽井沢。その縁で、戦後は皆で軽井沢にスキーに行っていた)

・当時、祖母は学校でピアノを弾いていた。上空をB29(アメリカの戦闘機)が通過すると、先生から、「その轟音に伴奏を付けなさい」とか「その音をピアノで表現しなさい」と言われ、毎日のように、B29の音と共にピアノを弾いていた。飛行機の音を聞くと、ピアノを弾いていたことを思い出すと。

・そうこうしていると、サイレンが鳴り、皆で防空壕にぴゃーーって逃げた。

・お米はなくて、野菜は皮まで全部食べた。

・男兄弟がいなかったため、祖母の母は、千人針を一生懸命縫って、お国の役に立ちたいと言っていた。

確か、こんな話だったと思う。

 

小学校の頃は全くピンとこなかったのだけれども、B29の音をピアノで表現していた…とか、戦争が日常ってつまり、そういうことなんだと思う。

あまりにもそれが当たり前の日常だったせいか、そのことを話す祖母は、辛いとか、悲しいとかではなく、あたかも子供の頃の昔話をするようだった。きっと、それが当時の私には、なんかもっと激烈な体験はないの?って少し物足りなく感じたり、その一方で、辛すぎる話じゃなくてよかったって安堵したり…そんな感じだったのだと思う。

 

とにかく、祖母が繰り返して言っていたのは、「戦争は絶対にしちゃだめ」「それを伝えたくて、小学校の先生になった」ということ。

もっとたくさんのことがあったのだと思う。だけども、子供から大人まで、皆等しく日常の景色を変えてしまうもの、それが戦争なんだとしたら、ジョジョ・ラビットはそういう映画だし、その日常が変わる恐ろしさを伝えたくて、祖母は小学校の先生になったのかな…。

 

話は変わり、それにしても、この映画のスカーレット・ヨハンソンは最高だった。

最高の役柄に、最高の演技、聡明で愛情たっぷりなキャラクターも含めて、私的ベストアクト★☆

 

f:id:mkrnsouko:20200214014409j:plain

 

*1:血とかは苦手だけど、戦争映画の場合は、覚悟して、そのつもりで見るので、なんとか…。逆に、油断していて突然の血がピッシャーの方が苦手かも…

*2:この世界の片隅に」とかもそうだったな~