旬感ブログ

好きなこと&旬な気持ちをメモ代わりに

82年生まれ、キム・ジヨン

鑑賞後、真っ先に思い出したのは、今年の正月、実家に帰った際の出来事。

家族皆でわいわい食事をする中、「好きな食べ物」の話になった。そこで、ふと気づいたのだが、私も父も、母親の好きな食べ物を知らなかったのだ。そして、改めて、「好きな食べ物は?」と聞いたところ、母は、「えーなんだろう~言われてみれば考えたことなかった~」と笑って答えた。些細なエピソードかもしれないけど、この映画を見た後に思い出すと、もう泣けて泣けて泣けて。

母は私が帰ると、好きな食べ物を用意しておいてくれるのに……。そんな母は自分の好きな食べ物について、考えたことがないと言ったのだ。それも笑って。

ちなみに、子供たちと父親の好きな食べ物は家族全員が、知っていた。

さらにショックだったのは、私の母は割と仕事もガッツリしていて、如何にも「家族に尽くしてきました風」のタイプではないのだ。そんな母でも、やっぱりそうだったんだな~と思うと、もう苦しくて、苦しくて。お母さ~んって、叫びたくなった。

この映画、母親が登場するシーンは、どこか自分の母に重なりまくって、めちゃくちゃ泣けました。ちなみに、私の父はジヨンの父とは全く違うタイプだったのですが、それでも、そうなんだな~という話です。だからこそ余計に、根深いなぁ、しんどいなぁみたいな。

 

あと、印象に残ったのは、ジヨンが痴漢に遭遇し、安心した瞬間に、恐怖で涙が止まらなくなるシーン。身に覚えがありすぎるだろーーーー!!ってめそめそしていたら、周りでも泣いている人がたくさんいて、皆、何かしらあるんだね~と心の中で握手した。女性同士でも確かにあまり話すことじゃないしね……。せめて、そういう場面に遭遇したら、なんとか助ける立場でありたいなと心に誓いました。

 

私自身、この映画を見て、希望はほとんど感じられなくて*1、その理由は、結局、当事者のジヨン(&母親)にばかりしわ寄せが来るから。まぁ、当たり前なのですが。

そして、ジヨンが一番辛いはずなのに、最終的には、ジヨンが旦那さんを元気付けているようにも受け取れるシーンで終わるんですよ~‼「私はもう大丈夫よ」って、ジヨンが苦難を乗り越えて、一回り成長して強くなった的な。いや、そこまでせなあかんの?って正直思いました(笑)それは、ジヨン自身が旦那さんを思っての行動だし、それこそがジヨンのすばらしさなのかもしれないけど、荷が重すぎるだろと。

また、旦那さん役のコン・ユがまあ爽やかで、確かに優しくて、ジヨンのことを考えてくれて、憎めないのだけど、それもまた、結構しんどかったです。多分、絶対的な悪役がいないからこそのしんどさが凄くある映画だったなぁと思う。

 

そんなこんなで、結構ずっしり響いたのですが、希望をいうならば、コロナ対応中とは言え、満席の映画館で鑑賞できたこと^^

たくさんの人がこの映画を観て、身近にいるジヨンやお母さんを少しで思い浮かべて、いたわる気持ちが生まれたら良いな……なんて、思いました。

 

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*1:逆に、男女問わず、希望を感じる人いるのかな?ってレベルでした……