はい、泳げません
たまには本の感想も^^
なにも考えずに笑いたい時、なんだか疲れている時、何もしたくない時、なんだかうまくいかないな~と沈んでいる時、
そんな時に読むと、少し肩の力が抜けるような、おすすめの本です。
はい、泳げません(作:高橋 秀実)
まず、この本の感想を書くにあたり、私の立場を表明しておくと(笑)
私は、泳げる人ですw
ベビースイミングから水泳を始めたので、実は、物心がついた時には泳げる人でした。なので、水が怖いとか息継ぎが怖いという気持ちになったことがないタイプの人間です。
だからなのか、いや、多分泳げる泳げないとかもはや関係なく、面白すぎるでしょ(笑)
特に前半部分は、ただひたすら、「泳げない」ということを書いているだけなのだけど、その「泳げない」人の心理描写がいちいちおもしろくて、おもしろくて。
この人絶対変わってるよねwwwってなる。
ただ、ここで面白いと思うのは、私が泳げる人だから感じるものではなくて、「苦手なもの」ってなんでこんなに考えちゃうんだろう……っていう面白さ。
できる人にはな~んてこともないことが、できない人にはとにかく難しい。この本ではそれがたまたま水泳だったというだけ。
できる人からすると、そんなこと考えてるの!?逆に難しいじゃん!?ってことのオンパレードです(笑)
でも自分の苦手なことに置き換えて考えると、誰にでも心辺りがあるんじゃない!?ほんとになんでなんだろう…苦手なことほど難しく考えてしまう。
得意なことは簡単に考えられるのにね(苦笑)
と、まー、少し真面目に書いたけど、とにかく予想外のエピソードがいちいち面白くて、本を読みながら何度も吹き出して、最終的には、愛おしくなりました。
特に好きなエピソードは、泳ぐことを知るために、水族館に向かった著者がアザラシの力みのない姿にこれが伸びかって感銘を受けるところとか、
同じスイミング教室に通う戦後の食糧難を生き抜いてきた女性が、”息継ぎ”のために息を吐かないことについて、「(せっかく吸ったのに息を吐くのは)もったいないでしょ」って答える場面とか(笑)
いちいち面白くて、面白くて元気でた^^
そうやって、ただ笑って読んでいるんだけど、一周回って哲学的にも感じてしまったり、著者以外の登場人物がほぼ女性なこともあって、不思議とジェンダー論を感じたり、最後は禅の精神まで広がる(笑)やっぱり面白すぎるでしょw
そして、なにより泳ぎたくなる!!
先日、柳美里さんのこんなツイートをみかけました。
最近やけに読書が捗るのは、外出もできないし、在宅勤務で時間があるからかな~なんて思っていたけど、もしかして、そういうことなのかもしれない。
自分に向けられた言葉じゃなくても、どこか傷ついたり、心を痛めたりしてたのかも……。そんな時にぴったりな本だな~
危機の時ほど、雑な言葉が蔓延り、それは残念ながら遠くまで響くから、注意が必要である。
— 柳美里 (@yu_miri_0622) 2021年1月11日
こういう時ほど、自分の声に耳を澄ます時間が大事。
本を読むと、自分の声がよく聴こえる。
読書は、自分との内緒話だから。